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臆病者のための億万長者入門 橘玲

最近読んだ株の本の中で、一番役に立ったのが、橘玲さんが書いた『臆病者のための億万長者入門』です。この本は、株式取引の素人が、いかにして甘い罠にハマらずに上手に資産運用できるかについて書かれた本です。

少し挑発的な物言いをしていますが、内容は非常に的を射ていて、入門者にとってはたいへん有り難いものです。ここで橘玲さんが、再三強調しているのは、株式投資が「ギャンブル」に近いものであり、そこにはプロのファンドマネージャーでも、個人投資家でも、確率論的に得られる利益はたいして変わりがないということです。

それでも、利益を得られる投資法がまったくないわけではなく、基本的にはインデックス・ファンドに投資しておけば、時間はかかるが、ほぼ確実に利益を得られると述べている。

大切なのは、もっともらしい宣伝文句で初心者を高リスクの商品に高い手数料で投資させようとする証券会社の陰謀に乗るのではなく、取引手数料というロスを最小限にして確実な商品にバランスよく投資することです。

これについては、高野山の高僧たちの大失敗談を交えて、面白おかしく皮肉りながら、ずばりと本質を言い抜いていると思います。さらに、この本では、まずは資産運用全体の考え方について考察するところから始まっています。

億万長者になるための方法として、現在の期待資産額は年齢に年収をかけて10で割った額だという説を紹介し、これにより、資産とは収入が多いことによって決定されるのではなく、収入と支出の差から導き出されるものであるという考察を述べています。そして、お金持ちになる方法は3つしかないと述べ、収入を増やすことと、支出を減らこと、あるいは資産をうまく投資することしており、また、これをお金持ちの方程式として表すと「総資産=収入-支出+(資産×運用利回り)」となるとしています。

こういったベースとなる考え方から紹介してくれているところが、頭の中をスムーズに整理でき、読んで理解しやすくなっている要因だと思います。

資産運用の4つの原則

この本の中で、特に役に立ったのは、「資産運用の4つの原則」というものでした。まず一つ目は、絶対に稼げる儲け話は一般の人のところにはやってこないという原則です。これは、もし本当に絶対に儲かるなら、ファンドマネージャーは他人に儲かる話をもっていったりはせず、自分だけで儲ければいいはずです。

投資家を集めるのは、損したときのリスクを皆で分かち合うためであり、その代わり儲かったときには利益を皆で分配するのです。

こう考えると、絶対に稼げるというは嘘だということが分かります。次に、実は誰も相手の資産のことなどを真面目に考えたりはしていないという原則です。証券マンは個人投資家から集めた資産を運用しますが、彼らからするとお客さんはただの赤の他人です。見ず知らずの人のことを無条件で大事にするということは、まずないでしょう。よって、本人の利益と、お客さんの利益を考えるとき、どちらの方を優先させるかについては、明らかに前者の方になります。

そのために、多くの人が運用する商品では、投資ルールが厳しく定められているのです。そして3つ目は、ジャーナリストや報道機関は、詐欺を事前に教えてくれることはないという原則です。米国の投資会社「MRIインターナショナル」が、我が国の投資家から一千三百億円の投資を募ったが、実際は運用を実施していないという詐欺が発生したことがありました。この事例では、業界内では既に悪い噂が流れていたにもかかわらず、容疑者が逮捕される前までは誰もその事実を報道できないため、結果的に多くの方が詐欺の被害にあいました。

このように、本当のことは誰も教えてはくれないというのです。最後の原則は、己の財産は己で確保するしかないというものです。先ほどの事例のように、他人の資産に対しては誰も親切に守ってはくれません。絶対に儲かるというような商品には手を出さず、投資の損失をうまく分散して、他人に頼らず自分でマネージメントしていくことが、資産運用には求められていると述べています。

「臆病者」な人にオススメな株の本です

「臆病者」とは具体的にどういう人かというと、多額の資産を持たない一般的な個人投資家のことであり、彼らにとって投資とは、お金をもうけるためのものではなく、生涯における資産の損失を避けるためのものです。

このような人にとって大事なのは、すぐ目の前の損得ではなく、長期的な未知のリスクから本人や配偶者・子どもの安定したライフを確保することである、と橘さんは述べています。

内容としては、非常に初歩的な資産運用全体の考え方から入っているので、投資初心者の方でも安心して読めるでしょう。また、高野山の高僧の失敗談や、ふつうのオバサンが億万長者になった話など、ユーモラスな例え話がところどころに散りばめられているので、難しい本が苦手な方でも、すいすいと読み進めることができます。

また、株式投資以外にも、宝くじや生命保険、不動産投資などについても触れられているので、宝くじを買うのをやめられない人、掛け捨ての生命保険は損だと思っている人、あるいはマイホームを買った方が賃貸住宅よりも得だと思っている人にとっても、示唆に富んだ著作となっています。

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臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

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