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アサーショントレーニングさわやかな自己表現のために 平木典子

アサーショントレーニングさわやかな自己表現のためには平木典子さんという、臨床心理学者が書いた本です。

「アサーション」を辞書で調べますと、「主張」「断言」という日本語訳が出てきます。このような言葉を聞くと、とにかく自分の意見を押し通すような強い自己主張をイメージしてしまうかもしれません。

しかしこの本で言うアサーションとは、そのような強い自己主張ではなく、穏やかに、しかしはっきりと自分の主張を伝えるニュアンスが強いものです。最近良くウィンウィンの関係と言いますが、アサーションとはこのようにお互いのことを考えたコミュニケーションのことを指します。

つまり、自分のことだけを考えて相手をないがしろにするのではなく、かといって相手のことを考えるあまり、自分のことを後回しにする、というものでもないコミュニケーションです。

アサーションとは、自分のことをまず考え、そのうえで他者にも配慮するコミュニケーションのことです。自己主張というよりも副題にもあるように自己表現と言った方が良いのかもしれません。

この本では、まずアサーションとは何かを詳しく説明しています。そして、そのようなコミュニケーションがなぜ必要なのかを説明し、次に考え方をアサーティブにする方法について書かれています。その次にいよいよアサーティブな表現について言及し、更に言葉以外の、例えば態度や表情といった部分のアサーションにも触れています。

最後にアサーショントレーニングの実際ということで、日本で行われているトレーニングについて説明しています。

「話し方」「話術」などの本はたくさん出ていると思います。しかし、小手先の技術書のような意味合いのものばかりで、応用が利かない本が多いように感じます。この本は上記のように、なぜそのような表現が必要かについて書かれてあるため、非常に応用が利きます。

ちなみに著者の平木さんは、コミュニケーションに関する本を多数執筆されていますので、この本を読んで良かったと思われた方は、別の本も読まれることをお勧めします。

さわやかな自己表現

さて、この本では副題にあるように、「さわやかな自己表現」を学ぶことができます。
私自身もコミュニケーション、特に職場におけるそれに非常に苦労していました。私は元来内気な性格で、自分の気持ちを上手に表現することができずにいました。

反論があっても言い出せず、相手に言われっぱなしになってしまったり、忙しいのに仕事を頼まれて、断り切れずに大変な思いをしたり、それとは逆に、相手にお願いしたいことがあるのに相手のことを考えすぎるあまり言い出せなかったり、ということがたくさんありました。

そういうことを続けていると、どんどん仕事の負担が増えるばかりか、ストレスもたまり、挙句の果てには本当は自分がどうしたいのかさえ分からなくなってくるのです。こうなると職場に行くことが苦痛になってきます。

仕事自体は決して嫌いではないし、同僚や上司も、本当は嫌いではないのです。しかし自分の意見を言えないものですから、相手を憎たらしく思ったり、言えない自分に嫌気がさして長い自己嫌悪に陥ったりします。こうしてその職場を退職し、別の仕事をするということが何度か続きました。

ある時、これでは同じことの繰り返しだ、どこかでこの悪循環を断ち切らなければと思い、とにかく自分の気持ちを相手に伝えようと思い立ちました。その際に大いに参考になったのがこの本でした。

この本の最初のほうに、基本的人権を使うことと、上司に逆らってはいけない、人を傷つけてはいけない等の思い込みについて書かれています。私はもっと自己主張をしても良いのだと考えられるようになったのがまずひとつ大きな変革でした。

そしてこの本に書かれていることを参考に、まずはその時に一番伝えたいことがあった同僚に、思い切って自分の思っていることを伝えてみることにしました。最初は相手に反論されてしまいましたが、自分の気持ちはきちんと伝えられたという充実感はありました。

これがきっかけになり、今では職場の一番偉い方にも堂々と意見を言えるようになりました。そして先日、その一番偉い方に「中心になって職場改革をしてくれ」と言わたのです。

まったく自分の意見が言えなかった私が、たった半年ほどでここまで変わることができました。

思考のパラダイムシフト

以上のように、この本に書いてあることを実践すれば、私がそうだったように、本当に大げさなことではなく、思考のパラダイムシフトが起きる場合があります。特に職場でのコミュニケーションがうまく取れなくて困っている方にぜひおすすめしたい一冊です。

コミュニケーションがうまくとれないと一口に言っても、様々なタイプがいます。過去の私のように引っ込み思案だったり、逆に自己主張が激しすぎて周りから浮いてしまったり、ついつい裏でネチネチ言ってしまったり等々。すべてアサーティブでないコミュニケーションですから、この本はどのタイプにも対応しています。

しかし、どんなハウツー本でもそうですが、書いてあることを実践しないと意味がありません。

この本に書かれてあることはとてもシンプルで分かりやすく、やろうと思えば明日からすぐ実践できるものです。失敗することも何度かあるでしょう。しかし、本気でより良いコミュニケーションを目指している方であれば、きっと続けられます。

ぜひ活用していただき、風通しの良く、居心地の良い職場づくりをしていただきたいです。

suminotiger.hatenadiary.jp

改訂版 アサーション・トレーニング ―さわやかな〈自己表現〉のために

改訂版 アサーション・トレーニング ―さわやかな〈自己表現〉のために