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採用基準 伊賀 泰代

 「マッキンゼーの採用マネジャーを12年務めた著者が初めて語る、地頭より論理的思考力より大切なもの」が本書の表紙に記載されているタイトルと宣伝文句です。

本書の著者キャリア形成コンサルタントの伊賀泰代さんは、2010年末までの17年間、世界最大級のコンサルティングファームMcKinsey and Company, Japanに在籍し、10年以上に渡ってアジア地域におけるコンサルタントの採用、育成に携わっていらっしゃったそうです。

本書は、タイトルに採用基準を標榜していますが、実際に読んでみると、採用基準に関する話題は3割程度で、あとの7割は『リーダーシップ』に関する話でした。著者は、日本では「グローバルに活躍できる人材」や「リーダーシップを備えた人材」の概念がうまく理解されていないと主張します。

マッキンゼーを訪れる、多くの求職者が自らの論理的思考能力や、地頭の良さを主張するにとどまるのだそうです。

しかし、マッキンゼーが採用にあたって最も重視するのは、地頭の良さでも論理的思考力でもなく、「将来、グローバルリーダーとして活躍できるポテンシャル」なのだそうです。著者が説明するリーダーは「目標を掲げる」「先頭を走る」「決める」「伝える」という4つの資質をもつ人を指します。

さらにマッキンゼーでそれをどのように育てていくかを語っています。

リーダーシップは生まれつきの資質ではなく、学んで向上させることができる技量の一種である、という主張を展開しています。

リーダーシップは、日頃とりくむ仕事への姿勢を磨き続けることと一つのことを考え抜こうとする姿勢によって、培われるのだと主張し、部分的にノウハウが紹介されています。著者は続けます。

全員がリーダーシップをもっているチームでは、議論の段階では全メンバーが『自分がリーダーの立場であったら』という前提で、『私ならばこういう決断をする』というスタンスで意見を述べます。

なので、高いパフォーマンスをもった組織が生まれるのだそうです。

リーダーシップのイメージ

第一に、リーダーシップの具体的なイメージを固めることができました。上の項目では、必要な素養4つを述べましたが、実際に本の中にはもっと具体的な記述がありました。たとえば、リーダシップを行使するシーンでは、事業計画などを、組織での実行ルーチンまで落とし込み、各所に根回しして、実行することも大事な仕事であると述べられていました。泥くさい仕事だからと言っておろそかにしてはいけません。

リーダーシップを磨くためには、

①バリューを出すことを意識する。
②ポジションをとる。
③自分の仕事の主導者は自分。
④ホワイトボードの前で自分のアイデアをアップデートし続ける。

など、リーダーシップを磨くために必要な、具体的な方法論も細かく記載していました。私にとって、より新鮮だったのは、組織の中でも、自分の成長速度を気にして生きていくことが必要であると述べられていたパートです。

たとえ、新卒採用の時に高いレベルの学生であったとしても、自分がいる組織の色にそまって適応していく中で、市場価値を失ってしまうという事例が紹介されておりました。組織のぬるま湯で、ゆでガエルになってしまわないために、真摯に業務と向き合うことが必要であるということを思い出しました。

仕事のスピードや成果へのこだわり、ヒエラルキーにとらわれない自己主張、柔軟にゼロから思考する姿勢を失わないことが重要だと述べられていました。実は、私にとってもっと新鮮なパートがありました。

コンサルタントに必要なのは、頭の良さでも分析力でもなく、問題の解決案を考え抜く能力であるという指摘でした。実は、私もコンサルタントのインターンに参加した際に、似たような話を聞きました。

正解のない問題を、何時間でも何日でも考え続ける能力は、コンサル以外でも要求される能力だと思います。この知的体力こそがリーダーとしてやっていくにあたって備えておくべき能力の神髄なのだという説明が非常に新鮮でした。

日頃仕事をする上での、心構えが簡潔に示されていてよかったです。

過去に真剣に利益を上げるために組織に所属していたことがある人におすすめ

タイトルや著者の履歴から、多くの人が「採用基準」を知ることを期待して手にとったのではないかと思います。

私もそのうちの一人です。

確かにこの本は、これから就活を控えている人に勧めることができる本ではあると思います。レベルが高い就活生なら、ある程度理解できると思います。

しかし、組織の中で成果をあげるために苦労することが、ほとんどない学生が読んでも、いまいちピンとこないと思います。

この本の中身を真剣に受け止めることができるのは、過去に真剣に利益を上げるために組織に所属していたことがある、20代後半から30代のビジネスマンや、企業に入りたての新入社員であると思います。

とくに、現在所属している組織の中で、本来持っていた成果への熱意をわすれて、すり減っている人に、もう一度活力を与えてくれる著作になっていると思います。

ところどころに、マッキンゼーで使われていたと思われる、細かい手法が混ぜ込まれていてお得感もあります。

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