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トップグローバル企業のリーダーが選ぶ 世界で勝てる人 吉田 和正

 米インテル副社長、インテルジャパン社長を務めた実務家である吉田和正氏が明かす真のグローバル人財論です。

著者は、新卒採用で米インテルに入社して20年、日本法人に10年勤めておられました。日本を外と内の両方から見てきた著者が、「世界のトップビジネスパーソンが大切にしていること」「日本人が世界で勝ち抜くために必要なこと」を具体的なエピソードを交えながら解説しています。

ただ単に「外国は素晴らしい」というだけのありきたりな議論ではありません。他国との違いを踏まえて、日本企業、そしてビジネスパーソンの強みをどのように活かしていけばいいのかを、真剣に検討している一冊です。まず、世界市場を支える大きな要素を紹介しています。

「Improved by the risk:危機で変化するのではない。危機でさらなる上昇を遂げる。そんな奴じゃないと消える。」、Fast or dead:先んじなければすなわち死。」、Making change:心地よいところに落ち着かない。変化に適応するのではなくて、変化の中でも貢献しようとういう心持が大事。」、“Proposal:どんなに大手でも、七転び八起きでやってんねんで。」

これらそれぞれが、重要となるグローバルビジネスで勝ち抜ける人が秘める3つのベクトルが提案されています。

それは、「適応」、「ビジョン(具体的なもの)」、「情熱」の3点です。これらの要素を明らかにした上で、日本社会では大きく誤解されている、真の「グローバル人財」になるために必要な資質に関して語ります。

例えば、「考え続ける力」がとても大事だと主張しています。文章を書いたり、話したりするにあたって最適な言葉を真剣に選ぶ姿勢が求められます。

言葉を選ぶ過程で、自分の立ち位置や相手にとっての利益を強く意識するようになるのだそうです。また、新たなビジネスを立ち上げるにあたっては、生態系を認識することが大切なのだとしています。

誰が、どんな人に何を求めて金を払っているのか?その人間は、実際にはなにを与えているのか?を真摯に検討することが重要なのだそうです。

そして、何より自分という会社を運営する心構え、オーナーシップを重要視していました。

また、死にそうになるほど働きながらも、一瞬のプライベートは忘れないという、「がむしゃら」にやりながらも余裕を持つ姿勢が大きな成長をもたらすと紹介されていました。

海外での交渉や議論がわかる

海外での交渉や議論に関するトピックが印象に残っています。

世界市場は、日本の文化とはことなる論理で動きます。まず、相手との違いに向き合う姿勢が重要視されます。最適解を求めて、自分の主張をもって議論することが大切です。

しかし、ただ一本気に主張し続けるだけではなく、相手との駆け引きも大事な要素であるとされています。そのためには事前に十分な準備をすることがとても大切となります。

例えば、インテルでは誰かと会って話をするにあたって、「誰とどこで会うのか?」「相手はどんな人物か」「コーディネートしているのはどんな人たちか?」「会談の趣旨が何か?」「達成を妨げる要素は何か?」を書面でまとめて、議論していたのだそうです。会合の進め方や時間配分すらデザインしており、自分のこと相手のことを踏まえてうまく準備することが重要視されていたのだそうです。

交渉の過程では、なんでも教えてやればいいというものではなく、「優位を保つために必要な情報は、クローズでもかまわない。」「てめえで考えろとかすっとぼけてもOK」というシビアな交渉の現実を垣間見ることができます。

また、日本の独自性に注目した今後の心構えを説く節もおもしろかったです。まず、世界で生きていくためには「違い」が重要であると述べられています。

現在、効率が悪いとして退けられる傾向にある、日本の職人的な考え方が意外と大事かもしれないと考えて入りうのだそうです。

特に、最後まで自分でやりきるという精神性を重要視することが、今後の日本にとって重要になると予言していました。一方、日本のビジネス習慣で改善すべきポイントと、方法論に関しても述べられていました。

まず、あいまいな評価をやめましょう。

変革が難しいとされている日本の組織にあって、

① 変化に前向き+積極的な階層は6%
②やれと言われれば、やる人は13%
③みんながやるなら、自分もやる層が31%
④基本的には、変わりたくない層は31%
⑤絶対に変わりたくない層は19%

という具合に分布しているのだそうです。

第一グループを徹底的にケアしたのちに会議などを通じて2,3層をとりこむ。日本人なら残りの層がついてくるという形で、組織の変革が達成できると述べられていました。

海外赴任前の人や外資に務めようという人におすすめ

海外における市場環境の厳しさ、海外での交渉様式の厳しさ、実際に吉田氏が経験した新卒時就業の様子などから、海外におけるビジネスというものの、息遣いを感じ取ることができる著作です。

この点を踏まえると、まず、海外赴任前の人や外資に務めようという人におすすめです。

同時に、この本の中では、著者の様々な失敗談が語られています。成功体験よりは、失敗体験とその原因に関する分析が細かく具体的に述べられているとともに、読者が直面しているかもしれない問題を類推し、解決法を提案しようとする姿勢は、さすがインテルジャパンの社長経験者だけあるなと感じさせるものでした。

これを踏まえると、以前世界市場に打って出て、失敗をして傷を負った方にもよんでほしい本です。

解決の糸口や、問題の違う視点が、見出せるかもしれません。この本のもう一つの長所は、いろいろな人間関係を踏まえて組織を動かす方法や取引先との会合の準備方法が詳しく述べられている点です。

この点と著者の履歴を踏まえると、営業職の方にもおすすめできる著作であると思います。

d.hatena.ne.jp

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