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イギリス人の、割り切ってシンプルな働き方 山嵜一也

イギリスに12年住みながら、建築士として仕事をしている著者です。

2012年に、イギリスではロンドン五輪が開催されましたが、国民の総意として無理をしないロンドン五輪を目指そうという流れが作られました。

多くの国が、オリンピック招致や開催で期待することは競技施設を作るための公共事業や、外国人観光客を呼び込み国内景気の活性化をです。

そのため、財政面でも各国オリンピック招致に力を入れることになりやすいものですが、成熟国家であるロンドンの考えは違いました。

オリンピックを招致することは、平和の祭典をその国の作法によって行うことであり、華美な装いを他国に見せつけるために行うためではないという考えが根底にあることで、その後の維持管理のコストなども考えて建築物の設計を行いました。

その結果、仮設競技場を利用したり、建築物の再利用をしやすいように後に減築ができるようにするといったことも建築することとセットで考えることで、巨額の税金を投じてまで過剰なハコモノを作りをしないというように、無理をしないことを大事なポイントとして開催することができたと言います。

この本は、巨額の公共投資につながりかねないオリンピックにおいて、なぜそのような選択ができたのか、またそのような結論を導き出したイギリスという国で暮らす人たちはどういった考えをしているのかを、建築士としての仕事をしながら肌で感じ取った著者が日本とイギリスで暮らす人たちとの違いを書いてくれている本です。

また、本作では日本の社会システムや政治システムに対してだからダメなんだということは全く書かれておらず、かえって日本人の勤勉さや正確性を知ることができることも面白さの1つです。

オリンピックという共通の題材を通して、日本という国の良さとなんとも言えない暮らし辛さや重苦しい、そしてイギリスという国の良さと日本人からすると考えられない不便さ。この2つの国や人についての考えの違いを楽しめる1冊です。

イギリスは割り切りとシンプルな国です

この本の中で度々出てくるイギリスという国のポイントは、タイトルにもあるように、割り切りとシンプルです。

最近は日本を訪れる外国人や、働く外国人を多く目にするようになりましたが、それでも日本という国は日本人が人口に占める割合が多数の国です。

日本人という人種で構成される社会では、目に見えない一般常識がしっかりと根付き、それが国民性によって作られているため、普通や一般的にはといった考え方が無意識に受け入れられる傾向があります。

イギリスという国は他民族国家であるため、この普通という考えが同一の価値観の元には形成されておらず、その結果物事に対して寛容になることで割り切って判断することを求められる社会だとこの本は教えてくれます。

日本人的感覚からすれば、本書に出てくる、気に入らない客が降りるまでバスを動かさない運転手や、公共交通機関の運転士のストライキなどについて読むと、プロ意識に欠ける行為に見えるのですが、そう考える意識こそ日本人的常識をなのだと気づくことになります。

読み進んで気づいたのが、夜中お店が開いているのは、誰かが寝ないで働いてくれているからだという、ごく当たり前なことですら忘れてしまうこの日本人的常識が自分達自身を苦しめている原因なのだということです。

日本に暮らしていて感じる閉塞感を経済の行き詰まりや人口減少にあると論じる人達は多くいますが、この本が教えてくれることは、これまでの日本人が作り上げた枠組みや常識といった、これまではなんとか機能していた取り決めと、社会や日本人が求める状況とがズレているにも関わらず、それを求められることや、自分自身も自分以外に求めてしまうことで息苦しい世の中を作り出していることに気づくことができました。

この本を読むことで、息苦しさの正体とは何かの状況を劇的に好転させなければならないようなものではなく、自分の考え方で変わるのだと気づくことができました。
その結果、私はほんの少し日々の息苦しさを感じなくなりました。

年齢や性別を問わず色々な人にオススメ

この本は建築士の著者が書かれている内容ですし、オリンピックという題材についても書かれていますが、論じられている内容はオリンピックについてではなく柔軟な考えを持つことでロンドンオリンピックはコンパクトに開催できたということが書かれています。

そのため、オリンピックに興味のある方にも何らかの発見がある本だと思いますので年齢や性別を問わず色々な人にオススメです。

しかし、一番読んでもらいたいのはオリンピックとは関係がない毎日頑張っている一般的なビジネスマンです。

日々、会社の常識と自分の常識を意識しながら、本当はこうした方がいいのにわかってもらえない雰囲気に押しつぶされそうな人にはこの本を読んで世界は広く、考えも多様にあることを思い出して欲しいです。

そのことを思い出しても、会社にそれを受け入れさすことはできないかもしれません。
しかし、答えは1つじゃないことがわかっている中で、会社のルールに触れるのと、答えは会社のルール以外にないと思って会社に従うのでは心の軽さが違います。
ですので、私は日々閉塞感を持っている方にこの本を読んで欲しいです。

toyokeizai.net

イギリス人の、割り切ってシンプルな働き方 “短く働く”のに、“なぜか成果を出せる”人たち

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