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イノベーションのジレンマ クレイトン・クリステンセン

ハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・クリステンセンが自身の提唱した「破壊的イノベーション」「破壊的技術」に関しての理論を書籍にしたものです。

著者クレイトン・クリステンセンは今ある大企業のすぐれた判断こそが企業の衰退の原因であるという驚愕の事実を発表しました。

その理論の核となるものが破壊的イノベーションであり、それを誘発する技術…破壊的技術だという理論を提唱したのです。

破壊的技術とは現在ある技術、開発から逸脱した技術のことを指します。

例えば、最近の事例を挙げますとスマートフォンやタブレットがこれに該当します。つい最近まで、デジタル作業のメインはデスクトップパソコンやノートパソコンの類が主流でした。

そのため、企業もデスクトップパソコンやノートパソコンのスペックを向上させるためにさまざまな技術や機能を足していきました。

ところが、性能面では一切パソコン類に勝っていないスマートフォンやタブレットにデジタル市場を乗っ取られてしまったのです。なぜスペックの低いスマートフォンやタブレットがこの競争に勝利したのか…。

決定的要因はスペックではありません。持ち運べるという新しい価値がスマートフォンやタブレットを勝利に導いたのです。

そしてこういった今までの市場にはなかった価値を見出すための技術、この事例では持ち運べるほどの携帯性を破壊的技術と呼びます。そしてその技術によって市場競争を勝ち抜いたスマートフォンやタブレットを売り出した経営戦略のことを破壊的イノベーションと呼ぶのです。

この書籍ではこの破壊的イノベーションが起きる大まかな流れが書かれています。
新しい技術が生まれ、市場が生まれます。事例の中では初期のデジタル市場、パソコン類が主力となった時代になります。これらの顧客は当初はよりハイスペックな機器を望んでいました。そのため優れた経営者はそれを読み取り、パソコンの高スペック化に力を注ぎます。

しかし、時代が経ち技術が発達していくと顧客の望んでいたスペックを技術が超えてしまうのです。それほど高スペックを望んでいない顧客はこの時点で満足してしまいます。

そして、そのある程度のスペックを満たした状態あるいは少し劣化してでも新しい価値のある機器がほしいと望み始めるのです。
今回の事例ではスマートフォンやタブレットが携帯性という新しい価値を持って市場に出てきました。

この価値に技術進歩が重なり、パソコン類はどんどんと市場を奪われてしまいます。
こういった破壊的イノベーションが既存の市場に進出していく仕組みをこの書籍では提案者自ら分かりやすく解説しているのです。

大企業であるからこそ衰退する

大企業であるからこそ衰退するというこの衝撃的なフレーズはわたしにとってとても魅力的にみえました。

よくある大企業の社長が書いたものよりも研究といった面が強いため、経営学で学んだ戦略論や情報論などを駆使しながら戦うことの大切さを学ぶことが出来ます。
特に大企業の新商品を見る際にはとても参考になります。

企業の新しい技術、機能がどういったものかによって企業戦略の方向性が明確にわかるようになったのです。

例えば、漫画市場は現在デジタル機器でも閲覧できるようにするかそのまま紙での販売を促進するか意見が真っ二つに分かれていました。

紙で販売する場合は経営の舵取りをそのまま直進で選択した企業、デジタル業界への進出を選んだ企業はどちらかというと破壊的イノベーションの方向へと舵を切ったと言えます。

この書籍では大企業はその大きな体であるがゆえに方向性の転換がとても遅くなると書かれています。これは規模による経済力を行使できるというメリットに対して、どれほどのデメリットになるかはその業界やまわりの環境にもよりますが転換が遅いということは市場の流れに乗り遅れやすいということになります。

現在の漫画市場のほとんどがデジタル業界への進出および商品の提供をおこなっている現状をみると、舵取りを直進で選んだ企業は市場の流れに乗り遅れてしまったといえます。

さらにこの乗り遅れた企業が大企業であればあるほど方向の転換…舵取りが遅く、いち早く切り替えをおこなったライバル他社に引き離されていくでしょう。

一面だけ見ると直進で進もうとした企業は古き良き漫画の伝統を守り抜こうとした優良企業という見方もできます。

しかし、このイノベーションのジレンマを心得ていれば転換が遅れた企業は流れを見誤ってしまった企業であり、それが大企業であればあるほど損失は大きくなるということが判断できます。下手をすればこの企業が倒産するというある程度の予測を立てることもできるようになるでしょう。

中小企業の社長におすすめ

ビジネス業界はもちろんですが、その中でも中小企業の社長などの方におすすめできると思います。

なぜならば、このイノベーションのジレンマは中小企業であることのメリットを提唱しているからです。

上記でも触れたように破壊的イノベーションを見誤ると大企業は方向の転換が遅いために大損害を食らってしまう可能性もあります。

しかし、中小企業であれば規模が小さいため意思決定のスピードも早いのでいち早く方向の転換が可能となります。

その切替が早ければ早いほど利益を得られる可能性は高まります。
また、アパレル業界のかたにもぜひ読んでいただきたいと思います。なぜならば、アパレル業界は流行り廃れがとても早い業界です。

循環が早いということはそれくらい対応の速さが求められます。

大企業による方向の転換が遅いと分かれば、アパレル業界にある中小企業も今までとは違った戦略アプローチをすることができ、大企業では得られないような隙間へと入り込める可能性があるからです。

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イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

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